公認会計士試験は、2006年(平成18年)から新試験制度になり、試験体系が簡素化され
合格者数、合格率ともに上がり、旧公認会計士試験と比較して合格しやすくなりましたが、
難関資格試験であることは変わりはない試験です。
まず、試験制度ですが、旧試験では、第1次から第3次の3段階だったのが、
1次と3次が廃止、一本化となりましたが、以前から公認会計士を受験する層は、
大学生で2年以上在籍していた人がほとんどで、第1次がなくなったからといって、
それほど関係ありません。
第3次試験ですが、新公認会計士試験に合格したあとに修了考査の合格が必要なため、
修了考査が第3次試験の代わりをすることとなります。
ですので、試験制度が変わったからといって難易度が低くなったと考えない方が良いでしょう。
ですが、新試験制度になった平成19年、試験合格者が大幅に増え、
新試験制度元年には3,000名を超える合格者が誕生し、
合格率が対出願者ベースで約15%になりました。
さらには新試験制度2年目の平成19年には4,000名を超える合格者、
合格率も約20%と、5人に1人が合格する試験になってしまいました。
旧試験制度の時の公認会計士試験は、合格者数はせいぜい600人から700人、
合格率は7%〜9%でしたので、大幅な易化といわざるを得ないでしょう。
しかし、合格者数があまりにも多くなり、監査法人に就職できない合格者が増えたためか、
2009年の合格者数は2008年と比較して40%も減り、合格率も約10%と、
新試験制度発足後すぐと比較すると大幅に難易度が上がりました。
それでも就職難に直面していることを考えると、これからもこの水準が維持されていく、
若しくはもっと合格者数が絞られ、結果合格率も下がり、難易度が旧試験並みに落ち着くかもしれません。
公認会計士試験を取り巻く環境が変わっても、公認会計士になるために試験で問われる必要な学識や
応用能力は変わりませんので、難関試験なのは変わらないでしょう。
会計学、企業法、租税法、監査などの知識、応用能力を用いて会計監査の専門家として、
独立した立場から財務諸表等の情報の信頼性を確保し、ステークホルダーの保護を図り、
国民経済の健全な発展に寄与することが使命である公認会計士になるための試験ですから、
出題科目数も、出題範囲も、出題形式も、学力も、受験者層も高い水準となっています。
よく比較される税理士試験が、暗記型で狭く深く出題され、科目合格制になっているのに対して、
公認会計士試験は、短答式、論文式に分かれ、必須科目、選択科目合わせて7科目を一度に受験し、
合格する必要があり、理解型で広く深く応用力が必要な試験といわれています。
(新試験制度になって短答式免除や論文式試験一部科目免除が導入されはしましたが。)
各科目の出題範囲を見ると、その大変さが分かると思います。
どの科目もある一定の点を取らないと総得点の合格基準を上回っていても不合格となります。
具体的には、短答式試験では総得点の70%が、論文式試験では52%が合格基準となりますが、
全体でこれを上回っていても、1科目でも4割を下回る得点ですと不合格となります。
これは、財務会計論、
管理会計論、
監査論、
企業法、
租税法、選択科目の6科目もある試験科目において、
苦手科目が作れないということになります。
この足きりがある試験で有名なのが日商簿記1級や社会保険労務士試験です。
試験科目が6科目がある、それもそれぞれ試験範囲が膨大、それに加えて足きりの合格基準がある、
難関国家試験にもかかわらず、不得意科目が作れないこともこの試験の難易度の高さを表しています。
全範囲を終わらせる前にドロップアウトをする人も多いと聞きます。
1日10時間以上勉強し、2年以上かかるのが平均といわれる会計士試験。
長丁場の受験期間で、膨大な試験範囲を消化するだけでも大変でしょうから、
途中であきらめてしまう人も少なくないでしょう。
そのような状況の中で、合格するまでモチベーションを維持するには、
経験してみないことにはわからないでしょうが、かなり難しいことは想像しやすいことと思います。
このような試験で、1人独学で続けていくのは、人によっては難しいかもしれません。
公認会計士試験に合格するには、難関試験に合格する学力、努力、継続力、そして合格したい、
公認会計士になりたい、公認会計士になって○○がしたいという明確なビジョンと強い気持ちが必要でしょう。
めでたく難関試験に合格しても、まだ公認会計士ではありません。
公認会計士になるには、試験に合格し、2年以上の業務補助等や実務補習で必要単位を取得し、
修了考査に合格し、内閣総理大臣の確認の上、公認会計士に登録して初めて公認会計士になれます。
2年間の業務補助等を行う一般的なルートは監査法人に就職することが主になっていますが、
近年の就職難で監査法人に就職することが難しい状態です。
公認会計士受かったけれど、直面する就職難(読売新聞)
また、うまく監査法人に就職できたとして、業務補助を行いながら、
実務補習を3年間受講し、修了考査を受験しても3割は落ちる試験となっています。
7割は合格するといえば、高い合格率ですが、仕事をしながら、補習を受け、
不合格になる3割に入らないようにするのは、意外と大変ということがわかります。
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