●公認会計士法第10条
(論文式による試験科目の一部免除)
1 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、当該各号に定める科目について、論文式による試験を免除する。
- 1.前条第1項第1号に掲げる者 会計学及び経営学
- 2.前条第1項第2号又は第4号に掲げる者 企業法及び民法
- 3.前条第1項第3号に掲げる者 高等試験本試験において受験した科目(当該科目が商法である場合にあつては、企業法)
- 4.学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校において3年以上経済学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあつた者又は経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 経済学
- 5.不動産鑑定士試験に合格した者 経済学又は民法
- 6.税理士法第3条第1項第1号又は第2号の規定により税理士となる資格を有する者 租税法
- 7.第8条第2項各号に掲げる科目の全部又は一部について、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有するものとして政令で定める者 政令で定める科目
2 論文式による試験において、試験科目のうちの一部の科目について公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得た者については、その申請により、当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる論文式による当該科目についての試験を免除する。
3 前2項の申請の手続は、内閣府令で定める。
公認会計士法第10条には短答式試験による試験科目の一部免除についての内容が規定されています。
短答式免除とは違い、さすがに全部科目免除はないようです。
公認会計士法第10条第1項7号にある「政令で定める科目」は、公認会計士法施行令第一条の三に規定されています。
●公認会計士法施行令第一条の三
(論文式試験科目の免除)
法第十条第一項第七号 に規定する政令で定める者は、次の各号に掲げる者とし、同項第七号 に規定する政令で定める科目は、当該各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める科目とする。
- 一 企業会計の基準の設定、原価計算の統一その他の企業会計制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で会計学に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)が認定した者 会計学(法第八条第二項第一号 に規定する科目をいう。)
- 二 監査基準の設定その他の監査制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で監査論に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると審査会が認定した者 監査論
条文上では、読みにくく、分かりにくいので、まとめると次のようになります。
- 大学等において3年以上商学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、
「会計学及び経営学」の科目が免除されます。 - 商学に関する研究により博士の学位を授与された者は、
「会計学及び経営学」の科目が免除されます。 - 大学等において3年以上法学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、
「企業法及び民法」の科目が免除されます。 - 法学に関する研究により博士の学位を授与された者は、
「企業法及び民法」の科目が免除されます。 - 大学等において3年以上経済学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、
「経済学」の科目が免除されます。 - 経済学に関する研究により博士の学位を授与された者は、
「経済学」の科目が免除されます。 - 司法試験合格者(旧司法試験第2次試験合格者を含む)は、
「企業法及び民法」の科目が免除されます。 - 高等試験本試験合格者は「受験した科目」が免除されます。
- 不動産鑑定士試験合格者は「経済学又は民法」が免除されます。
- 税理士試験合格者は「租税法」が免除されます。
- 企業会計の基準の設定、原価計算の統一その他の企業会計制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で会計学に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者は「会計学」が免除されます。
- 監査基準の設定その他の監査制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で監査論に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると審査会が認定した者は「監査論」が免除されます。
- 論文式試験で一部科目について公認会計士・監査審査会が、
相当と認める成績を得た人は2年間免除されます。
このように、商学や法学、経済学の教授、准教授、博士号の学位を持つ人、
司法試験、不動産鑑定士、税理士試験合格者が免除される科目が一部あります。
いずれも、会計士試験受験者層としては少数派となっていますし、
会計士試験合格を目的として、これらの対象者となるのは、かなり遠回りです。
普通の人にはほとんど関係ないことと思います。
新試験制度で、一番うれしいのは、やはり第10条第2項にあるように、
論文式試験で、いい点を取れば当該科目が2年間免除されるということでしょう。
また、企業会計制度や監査制度の整備改善業務に従事した人で、
審査会に認定されると、会計学や監査論が免除されるといった、
実務経験者も公認会計士になりやすい制度になっています。
特に企業会計制度改善業務従事者が免除される会計学は財務会計論と管理会計論です。
財務会計論は簿記と財務諸表論ですから、特にボリュームが多い実質3科目が、
免除されるのは、会計士試験合格にかなり負担が減る制度といえるでしょう。
全国の公認会計士試験予備校をまとめて資料を請求できて、比較検討できます! |