新試験制度では、社会人を含めた幅広い人材が受験しやすいように、
旧試験制度にはない免除制度が充実しています。
特に大きな免除制度は、短答式試験に合格すると、申請することにより、
合格発表日から起算して2年間は免除されるという制度です。
短答式試験に合格し、論文式試験に不合格になったとして、
旧試験制度ですと、翌年また短答式試験からはじめないといけなかったのが、
受験願書提出時に免除申請をすることにより、翌年は論文式試験のみに専念することができます。
しかもその免除期間は2年ですので、更に翌々年に挑戦する際にも、
短答式は免除、論文式試験のみに専念できます。
また、論文式試験でも不合格になったとしても試験科目のうち、
公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得た科目を有する者については、
「科目免除資格付与」と表記され、「公認会計士試験論文式試験一部科目免除資格通知書」が交付されます。
このように頑張って高得点を取れば免除されるという制度でもあります。
この制度は旧試験制度にはない大きなアドバンテージでしょう。
他にも免除される条件があります。
この制度の根拠条文は次のとおりです。
●公認会計士法第9条
(短答式による試験科目の一部免除等)
1 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、短答式による試験を免除する。
- 1.学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学(予科を含む。以下同じ。)、旧高等学校令(大正7年勅令第389号)による高等学校高等科若しくは旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校において3年以上商学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあつた者又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者
- 2.学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校において3年以上法律学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあつた者又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者
- 3.高等試験本試験に合格した者
- 4.司法試験に合格した者
2 前項各号に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、
その申請により、当該各号に定める科目について、短答式による試験を免除する。
- 1.税理士法第3条第1項第1号若しくは第2号の規定により税理士となる資格を有する者又は税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について同法第7条第1項に規定する政令で定める基準以上の成績を得た者(同条第3項の規定により、同条第1項に規定する政令で定める基準以上の成績を得たものとみなされる者を含む。) 財務会計論
- 2.商学に属する科目その他内閣府令で定めるものに関する研究により学校教育法第104条第1項に規定する文部科学大臣の定める学位で内閣府令で定めるものを授与された者 政令で定める科目
- 3.前条第1項各号に掲げる科目の全部又は一部に関連する事務又は業務に従事した期間が通算して7年以上である者として政令で定める者 政令で定める科目
3 短答式による試験に合格した者に対しては、その申請により、当該短答式による試験に係る合格発表の日から
起算して2年を経過する日までに行われる短答式による試験を免除する。
4 前3項の申請の手続は、内閣府令で定める。
公認会計士法第9条には短答式試験による試験科目の全部免除、一部免除等についての内容が規定されています。
ここで、条文内にある「政令で定める科目」とは、公認会計士法施行令に次のように明記してあります。
●公認会計士法施行令第一条
(特定の学位による短答式試験科目の免除)
●公認会計士法施行令第一条の二
(実務経験による短答式試験科目の免除)
条文上では、読みにくくわかりにくくかかれているので、要点を掻い摘むと次のとおりです。
●短答式試験全科目免除資格取得者(第9条第1項第3項)
- 大学等において3年以上商学関連科目の教授、准教授の職にあった者
- 商学に関する研究により博士の学位を授与された者
- 大学等において3年以上法学関連科目の教授、准教授の職にあった者
- 法学に関する研究により博士の学位を授与された者
- 司法試験合格者(旧司法試験第2次試験合格者を含む)
- 高等試験本試験合格者
- 短答式試験合格者(2年間)
●短答式試験一部科目免除資格取得者(第9条第2項)
- 税理士となる資格を有する者や簿記論、財務諸表論の2科目合格者は「財務会計論」が免除されます。
- 会計専門職大学院を修了すると、「財務会計論」、「管理会計論」、「監査論」が免除されます。
- 上場企業や大会社、国、地方公共団体などにおいて、会計や監査業務に7年以上従事すると、「財務会計論」が免除されます。
●公認会計士法第10条
(論文式による試験科目の一部免除)
1 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、当該各号に定める科目について、論文式による試験を免除する。
- 1.前条第1項第1号に掲げる者 会計学及び経営学
- 2.前条第1項第2号又は第4号に掲げる者 企業法及び民法
- 3.前条第1項第3号に掲げる者 高等試験本試験において受験した科目(当該科目が商法である場合にあつては、企業法)
- 4.学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校において3年以上経済学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあつた者又は経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 経済学
- 5.不動産鑑定士試験に合格した者 経済学又は民法
- 6.税理士法第3条第1項第1号又は第2号の規定により税理士となる資格を有する者 租税法
- 7.第8条第2項各号に掲げる科目の全部又は一部について、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有するものとして政令で定める者 政令で定める科目
2 論文式による試験において、試験科目のうちの一部の科目について公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得た者については、その申請により、当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる論文式による当該科目についての試験を免除する。
3 前2項の申請の手続は、内閣府令で定める。
公認会計士法第10条には短答式試験による試験科目の一部免除についての内容が規定されています。
短答式免除とは違い、さすがに全部科目免除はないようです。
短答式または論文式試験の全部または一部免除の申請手続きは、
免除申請書に必要書類を添付して申請します。
(公認会計士試験規則第5条)
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