実務補習で必要な単位を取得すると、いよいよ最終関門の修了考査です。
この修了考査は、実務補習規則に基づき、実務補習団体等の受講者が実務補習の内容全体について適切な理解がなされているかどうかの確認及び職業専門家としての実務的な専門能力と適格性の確認を目的とし、日本公認会計士協会が統一的に実施するものです。
修了考査に合格し、内閣総理大臣の確認を受けた上で、登録すると晴れて公認会計士になることができます。
修了考査は、日本公認会計士協会主催の試験で、国家試験ではありません。
(旧第3次試験は国家試験でしたが、修了考査は国家試験ではありません。
会計士協会が特別民間法人ということで、民間資格といったところでしょうか。)
新試験制度になり、旧試験制度にあった第3次試験が廃止になりましたが、
この修了考査は、実務経験を経て受験する試験ということで、
実質旧第3次試験の代わりになったと考えていいでしょう。
ということで、試験制度が変わっても、資格を得るための実質的体系はあまり変わっていないようです。
修了考査の名称ですが、統一考査や修了試験などありますが、
実務補習規則や日本公認会計士協会に表記されているのは修了考査です。
平成18年までは、修了試験でしたが、平成19年から修了考査になりました。
●実務補習規則第7条
(修了考査)
1 修了考査は、第二条に定める実務補習の内容全体について適切な理解がなされているかどうかを確認するために行うものとする。
2 修了考査は、受講者が当該実務補習団体等において第三条第一項第一号から第三号までの方法による課程を終え、かつ、同条第四項に定める単位数以上を修得している場合において受けることができる。
3 修了考査を受けようとする者は、前項の要件を満たしていることを証明した当該実務補習団体等が発行した書面を添付して公認会計士団体に申し込まなければならない。
4 修了考査は、次に掲げる事項について行う。
- 一 会計に関する理論及び実務
- 二 監査に関する理論及び実務
- 三 経営に関する理論及び実務(コンピュータに関する理論を含む。)
- 四 税に関する理論及び実務
- 五 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理
5 修了考査は、年一回以上これを行う。
6 修了考査の手数料の額は、適当と認められる額でなければならない。
7 公認会計士団体は、修了考査に合格した者に、修了考査に合格したことを証する書面を交付するとともに、その者が実務補習を受けている実務補習団体等に対して、修了考査に合格したことを証する書面の写しを交付する。
8 本条に定めるもののほか、修了考査に関し必要な事項は、公認会計士団体が定める。
9 金融庁長官は、修了考査の適正な実施を確保するため、修了考査の内容、方法その他の事項が適当でないと認めるときは、公認会計士団体に対し、必要な指示をすることができる。
修了考査は年1回、例年12月中旬の2日間に渡って行われます。
(平成22年度は1月上旬の2日間)
修了考査の試験科目は、下記の5科目が出題されます。
- 会計に関する理論及び実務
- 監査に関する理論及び実務
- 税に関する理論及び実務
- 経営に関する理論及び実務(コンピュータに関する理論を含む。)
- 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理
年度 | 試験日 | 受験願書 提出者数 |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 (対出願者数) |
合格率 (受験者数) |
---|---|---|---|---|---|---|
平成21年度 | H21.12.19日,20日 | 2,221 | 2,145 | 1,493 | 67.2% | 69.6% |
平成20年度 | H20.12.20日,21日 | 1,883 | 1,790 | 1,323 | 70.3% | 73.9% |
平成19年度 | H19.12.22日,23日 | 1,716 | 1,651 | 1,186 | 69.1% | 71.8% |
平成18年 修了試験 |
H18.12.23日,24日 | 1,159 | 827 | 71.4% |
気になる修了考査の合格率ですが、概ね70%といったところです。
この合格率を高いと見るか低いと見るかは、それぞれありますが、
3割の人は、公認会計士になる資格を有しないということになります。
この合格率から、難関試験に合格し、実務経験を積みながら、補習所で3年間講義を受けて修了考査を受け、
3割が国家資格である公認会計士になる資格を有しないという、かなり厳しい現実があるようです。
(公認会計士試験合格者は、あくまで試験合格者です。)
修了考査の試験科目の出題方針・基準・出題項目・配点についてはこちら
大手資格学校の中には、修了考査の対策講座を行っている資格学校があります。
有名なところで、TAC、大原です。
監査業務繁忙期や平日は、休講にしたり、負担を軽減したカリキュラムとなっているようです。
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