公認会計士には様々な義務を負います。
具体的には、業務の制限や信用失墜の禁止、守秘義務などがあります。
●公認会計士法第24条
(特定の事項についての業務の制限)
1 公認会計士は、財務書類のうち、次の各号の一に該当するものについては、第2条第1項の業務を行なつてはならない。
- 公認会計士又はその配偶者が、役員、これに準ずるもの若しくは財務に関する事務の責任ある担当者であり、又は過去1年以内にこれらの者であつた会社その他の者の財務書類
- 公認会計士がその使用人であり、又は過去1年以内に使用人であつた会社その他の者の財務書類
- 前2号に定めるもののほか、公認会計士が著しい利害関係を有する会社その他の者の財務書類
2 前項第3号の著しい利害関係とは、公認会計士又はその配偶者が会社その他の者との間にその者の営業、経理その他に関して有する関係で、公認会計士の行なう第2条第1項の業務の公正を確保するため業務の制限をすることが必要かつ適当であるとして政令で定めるものをいう。
3 国家公務員若しくは地方公務員又はこれらの職にあつた者は、その在職中又は退職後2年間は、その在職し、又は退職前2年間に在職していた職と職務上密接な関係にある営利企業の財務について、第2条第1項の業務を行つてはならない。
●公認会計士法第24条の2
(大会社等に係る業務の制限の特例)
1 公認会計士は、当該公認会計士、その配偶者又は当該公認会計士若しくはその配偶者が実質的に支配していると認められるものとして内閣府令で定める関係を有する法人その他の団体が、次の各号のいずれかに該当する者(以下「大会社等」という。)から第2条第2項の業務(内閣府令で定めるものに限る。)により継続的な報酬を受けている場合には、当該大会社等の財務書類について、同条第1項の業務を行つてはならない。
- 会計監査人設置会社
- 金融商品取引法第193条の2第1項又は第2項の規定により監査証明を受けなければならない者
- 銀行法第2条第1項に規定する銀行
- 長期信用銀行法第2条に規定する長期信用銀行
- 保険業法第2条第2項に規定する保険会社
- 前各号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者
公認会計士の独占業務に法第2条第1項の財務書類の監査証明業務がありますが、
公認会計士自信が役員や財務担当者、使用人、利害関係者であったりすると、当該会社の監査証明業務はできません。
公認会計士の配偶者も含み、過去1年以内にあったものを含みます。
ちなみに株式を所有したり、出資している会社の財務諸表監査もできません。
●公認会計士法第26条
公認会計士は、公認会計士の信用を傷つけ、又は公認会計士全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
当然ですが、公認会計士の名を汚すような行為をすることはしてはいけません。
具体的には、倫理規定に違反したり、業務懈怠、税理士法違反、名義貸し、インサイダー取引などがあります。
信用失墜行為をすると、金融庁のホームページで懲戒処分の発表があります。
●公認会計士法第27条
公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。
公認会計士でなくなつた後であつても、同様とする。
公認会計士をやっているとほかでは知りえない様々な情報が飛び込んできます。
公認会計士は、このように知りえた情報について、秘密保持の契約を結んでいなくても守秘義務を負います。
クライアント情報をほかに漏らさないために会計士同士は会社名でもほかに分からない呼び方をしているそうです。
この守秘義務は公認会計士にとって根幹となる義務です。
この守秘義務を負っているため、被監査会社は監査法人や公認会計士に重大な機密事項を教えてくれるのです。
また、業務で知りえた情報を元に株取引をすることは、業務上知り得た情報の盗用となりインサイダー取引で刑事罰、課徴金納付命令、業務停止の行政処分、信用失墜行為などで罰せられ、金融庁のホームページで懲戒処分の発表されます。
公認会計士を廃業してもこの義務を負い、裁判など正当な理由がない限り漏らすことは許されません。
●公認会計士法第28条
公認会計士は、内閣府令で定めるところにより、日本公認会計士協会が行う資質の向上を図るための研修を受けるものとする。
公認会計士は、資質の維持、向上、変化に対応するために研修を受けることが義務付けられています。
研修は、日本公認会計士協会が行い、この研修のことを継続的専門研修(CPE=Continuing Professional Education)と言います。
年間40単位以上を履修し、研修義務を行わない者に対しては、氏名の公表や監査業務の辞退勧告などが行われます。
●公認会計士法第28条の2
公認会計士が会社その他の者の財務書類について第2条第1項の業務を行つた場合には、当該公認会計士(公認会計士であつた者を含む。)は、当該財務書類に係る会計期間の翌会計期間の終了の日までの間は、当該会社その他の者又はその連結会社等の役員又はこれに準ずるものに就いてはならない。
ただし、当該会社その他の者又はその連結会社等の役員又はこれに準ずるものに就くことにつきやむを得ない事情があると認められるときその他の内閣府令で定める場合において、内閣総理大臣の承認を得たときは、この限りでない。
公認会計士は、会計の専門家として様々な業種に就職することが可能ですが、一部一定期間就職することが法律で制限されていることがあります。
それは、監査証明業務を行った会社や連結子会社、持分法適用会社、親会社などへの就職です。
この規定があるのは、当該会社等の監査人が、当該会社等に就職する予定の場合、監査が甘くなったりする危険性を排除するためです。
一定期間が終了するとこの制限期間が終了します。
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