難易度を計る材料として、合格率などがあります。
公認会計士試験合格率の推移を見てみると、新試験制度になったとたん、
急激に合格しやすくなったように見られますが、ほんとにそうなのか、
初心者や社会人が安易に飛び込んで良いのか、もっとよく調べてみる必要があると思います。
公認会計士・監査審査会が発表している試験結果データによると、
職業別のデータが発表されていますが、
その中に会計士補があります。
会計士補は旧試験制度の公認会計士試験に合格した人たちであり、
その他の職業の人たちとは別に考えた方が、
初心者などが受験する際により正しい難易度が出てくると思われます。
他の職業の人たちは、ほとんどの場合、短答式試験からスタートになります。
会計士補以外の職業には、
学生、
専修学校/各種学校、
会計事務所員、
税理士、
会社員
公務員、
教育・学習支援者、
教員、
無職、
その他の職業があります。
まずは、全体の出願者数、最終合格者数、合格率は次のとおりです。
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次に旧公認会計士試験に合格した会計士補と、その他の職業を分けて比較してみましょう。
年度別 | 全体出願者数 | 会計士補 出願者数 |
対全体出願者数 会計士補比率 |
その他の職業 出願者数 |
---|---|---|---|---|
平成26年度 (2014年) |
10,870 | 139 | 1.3% | 10,731 |
平成25年度 (2013年) |
13,224 | 172 | 1.3% | 13,052 |
平成24年度 (2012年) |
17,894 | 239 | 1.3% | 17,655 |
平成23年度 (2011年) |
23,151 | 336 | 1.5% | 22,815 |
平成22年度 (2010年) |
25,648 | 465 | 1.8% | 25,183 |
平成21年度 (2009年) |
21,255 | 719 | 3.4% | 20,536 |
平成20年度 (2008年) |
21,168 | 1,310 | 6.2% | 19,858 |
平成19年度 (2007年) |
20,926 | 2,578 | 12.3% | 18,348 |
平成18年度 (2006年) |
20,796 | 4,317 | 20.8% | 16,479 |
まず全体の出願者数に対する会計士補の比率ですが、平成22年には2%程度になりましたが、
新試験制度になったすぐは2割も占めていました。
平成18年の会計士補以外の出願者数は、旧試験制度の2004年や2005年の出願者数とあまり変わりません。
年度別 | 全体最終合格者数 | 会計士補 最終合格者数 |
対最終合格者数 会計士補比率 |
その他の職業 最終合格者数 |
---|---|---|---|---|
平成26年度 (2014年) |
1,102 | 23 | 2.1% | 1,079 |
平成25年度 (2013年) |
1,178 | 24 | 2.0% | 1,154 |
平成24年度 (2012年) |
1,347 | 39 | 2.9% | 1,308 |
平成23年度 (2011年) |
1,511 | 57 | 3.8% | 1,454 |
平成22年度 (2010年) |
2,041 | 111 | 5.4% | 1,930 |
平成21年度 (2009年) |
2,229 | 290 | 13.0% | 1,939 |
平成20年度 (2008年) |
3,625 | 580 | 16.0% | 3,045 |
平成19年度 (2007年) |
4,041 | 1,302 | 32.2% | 2,739 |
平成18年度 (2006年) |
3,108 | 1,687 | 54.3% | 1,421 |
最終合格者の割合ですが、新試験制度になったすぐの平成18年には、
合格者の半分以上は会計士補となりました。
旧試験制度では、1,300人程度が最大の合格者数でしたが、
新試験制度になったとたん3,000名を超える合格者が誕生しました。
ですが、よく内訳を見てみると、半分以上が会計士補であり、
その他の職業の合格者数は旧試験制度の最終合格者数より少し多い程度です。
その後、平成19年には、2700名程度、20年には3,000名と、
会計士補以外の職業の方々も旧試験制度にはない多くの合格者が誕生しています。
平成21年、22年には、1,000名以上減少の約1,900名。
さらに平成23年、24年には1,300名から1,400名で、旧試験制度の合格者水準です。
このデータから、会計士補以外の職業の合格者数はかなり増えたということがわかりますが、
それは試験制度変更直後の数年だけのようです。
新試験制度の初年度の最終合格者の半分以上は会計士補。
次に無職、専修学校と続きます。
年度別 | 全体 | 会計士補 | その他の職業 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出願者数 | 最終 合格者数 |
合格率 | 出願者数 | 最終 合格者数 |
合格率 | 出願者数 | 最終 合格者数 |
合格率 | |
平成26年度 (2014年) |
10,870 | 1,102 | 10.1% | 139 | 23 | 16.5% | 10,731 | 1,079 | 10.1% |
平成25年度 (2013年) |
13,224 | 1,178 | 8.9% | 172 | 24 | 14.0% | 13,052 | 1,154 | 8.8% |
平成24年度 (2012年) |
17,894 | 1,347 | 7.5% | 239 | 39 | 16.3% | 17,655 | 1,308 | 7.4% |
平成23年度 (2011年) |
23,151 | 1,511 | 6.5% | 336 | 57 | 17.0% | 22,815 | 1,454 | 6.4% |
平成22年度 (2010年) |
25,648 | 2,041 | 8.0% | 465 | 111 | 23.9% | 25,183 | 1,930 | 7.7% |
平成21年度 (2009年) |
21,255 | 2,229 | 10.5% | 719 | 290 | 40.3% | 20,536 | 1,939 | 9.4% |
平成20年度 (2008年) |
21,168 | 3,625 | 17.1% | 1,310 | 580 | 44.3% | 19,858 | 3,045 | 15.3% |
平成19年度 (2007年) |
20,926 | 4,041 | 19.3% | 2,578 | 1,302 | 50.5% | 18,348 | 2,739 | 14.9% |
平成18年度 (2006年) |
20,796 | 3,108 | 14.9% | 4,317 | 1,687 | 39.1% | 16,479 | 1,421 | 8.6% |
新試験制度になって、合格率が上昇してるように見えますが、
こう見てみると、会計士補の合格率が全体の合格率をあげており、
その他の職業の平成19年、平成20年の合格率以外、
旧試験制度の合格率とあまり変わらない結果となっています。
以上より、会計士補を除く最終合格者は大きく増えましたが、合格率から見ると、平成19年、20年以外は、
以前とあまり変わらないということが分かります。
ということで、試験制度が変わって難易度が下がったかといえば、
実はそうでもなかったといっても良いかもしれません。
試験制度が変更になったすぐはどんな試験でもたいてい合格しやすくなるもので、
公認会計士試験も例外ではなかったようですが、今後は以前の8%程度を推移していくことと思われます。
出願者数は右肩上がり、合格者も増加しているにもかかわらず、難易度があまり変わらない昨今、
監査法人に就職することが困難な状況において、目指す前にこの資格を取得する意義をもう一度熟考する必要があるかもしれません。
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